お城につかえる侍女の部屋。
電球が切れました。
黒蜜のようなトロリとした真っ暗闇がおとずれました。
目を閉じます。
やはり真っ暗闇。
視覚以外のすべての感覚が鋭敏になりました。
闇の世界では何にでもなれそうな気がしました。
闇と一つになって辺りをだだよいます。
トロリトロリとお姫様の部屋へ。
月明かりに照らされたお姫様。
灯りはなくとも、ひっそりとかわいい寝顔。
真っ暗闇の侍女はくやしさのあまり、
お姫様の部屋の電球をかっぱらいました。
ほんの少しのうしろめたさと、
ほんの少しの優越感。
闇の侍女はトロトロと部屋に戻り、電球を付け替えました。
いつもの明るい部屋。
鏡をみます。
いつもの顔…。あれっ、どこかが違う。