Skip to content

電球

akari-01

お城につかえる侍女の部屋。

電球が切れました。

黒蜜のようなトロリとした真っ暗闇がおとずれました。

目を閉じます。

やはり真っ暗闇。

視覚以外のすべての感覚が鋭敏になりました。

闇の世界では何にでもなれそうな気がしました。

闇と一つになって辺りをだだよいます。

トロリトロリとお姫様の部屋へ。

月明かりに照らされたお姫様。

灯りはなくとも、ひっそりとかわいい寝顔。

真っ暗闇の侍女はくやしさのあまり、

お姫様の部屋の電球をかっぱらいました。

ほんの少しのうしろめたさと、

ほんの少しの優越感。

闇の侍女はトロトロと部屋に戻り、電球を付け替えました。

いつもの明るい部屋。

鏡をみます。

いつもの顔…。あれっ、どこかが違う。

Categories: 日々の出来事.

Comment Feed

No Responses (yet)

You must be logged in to post a comment.